千葉県野田市のK様邸に納品したアメリカンチェリーのライティングビューローです。
このライティングビューローはひょうたん蔵をスタートしたばかりの頃から製作しているオリジナル定番品の中でも最古参の製品です。…とはいってもＨＰのオリジナル家具のコーナーには掲載していないので、これまでにそれほどたくさんオーダーいただいているわけでもなく、特に人気商品というわけではありません。でも僕自身はそれなりに思い入れのある家具なのです。
工房を起ち上げたばかりで仕事もあまりなかった頃、ある先輩の木工家の方にお仕事をご紹介いただきました。
まだ何の実績もなかった僕らに大事なお客様からのご注文を振ってくださったので、その期待になんとか応えなければならないと思って、デザインから製作まで、かなり気合を入れて作らせていただいたのがこのライティングビューローだったのです。今思えば、ロクな木工機械も揃っていなかったのによくこんなの作ったな～、と思います。当時はやる気だけはあったんでしょうね。いや、今もありますけど…（笑）
それで最初にこの家具をなんとか作り上げた時にとても充足感が得られて、「これでなんとかやっていけるんじゃないか。」と少しだけ自信を持てたのです。そういう理由で少なくとも僕にとっては記念碑的な家具であることに間違いないんです。
ライティングビューローといえば装飾的な調度品というイメージがありますが、このライティングビューローの外観はとてもシンプルです。でもシンプルながら温かみがあって中身もギュッと詰まった家具にしたかったんです。だから作るのも見た目以上に結構手間がかかっているんですよ。
この家具の一番の見せ場はなんといっても抽斗と連動して蛇腹が開閉するところです。ライティングビューローではよくある仕様ですが、抽斗を閉めて鍵をかけてしまえば蛇腹も天板も開けることはできません。だから大事なものはここにしまっておけば安心なんですよ。
今回、この家具をオーダーしてくださったK様は、だいぶ前からライティングビューロー探していろんな家具屋さんを見て回っていらしたそうですが、なかなか気に入るものが無かったそうです。うちのショールームに来られてこれをご覧いただいた時に「ようやく本当に気に入ったのに出会えました。」とおっしゃってくださったのはとても嬉しい一言でしたね～。
素材：アメリカンチェリー、ウォルナット
仕上：オイルフィニッシュ
サイズ：690(w)×430(d)×1000(h) 閉めた時