杉並区のK様邸に納めたウォルナットの巨大なキャビネットです。
スケール感がわかりにくいかと思いますが3メートル高の天井いっぱいまであります。
奥の室内ドアのサイズと比べてもらうとその大きさがなんとなくわかってもらえると思います。
中に入れる物はK様がお仕事で使われる専門書です。(K様のご職業は某有名国立大学の教授です。)
高さ3メートル、幅1.6メートルあって前に立つとかなりの威圧感があります。
奥行きも46センチと本棚としては深いので本を二重に収納できるようにしています。
前面の本棚は左右に移動します。
こんな巨大な家具はそのままでは家に入らないので当然分解して搬入し現地で組み立てします。
本体は上下2つの箱に分けて作られています。
下の箱は一体で作って持っていってもなんとか搬入できるサイズでしたが、上の箱は絶対に無理だとわかっていたので板の状態のままで搬入し現地で箱組みしました。
そこで組み立てた上箱を下箱の上に乗せて合体させるのですが、天井までの余裕がほとんど無く、持ち上げた時にちょっとでもバランスを崩すと天井のクロスを傷つけてしまいます。
というわけで今回、秘密兵器を持ちこみました。
リフトです。
リフトを一番上まであげた時にちょうど下箱の高さまでくるようにスぺーサーになる箱を作り取り付けておきました。
その上で上箱本体を組み立てて、そのままジャッキアップして下箱と高さを揃えたらそのまま横にスライドして下箱に乗せられます。
計算通りにうまくいきました。
大型家具の取り付けの場合、このように狭い場所での組み立て作業はよくあるので今後この台車は重宝することでしょう。
無理して重い家具を持ち上げて腰を痛める事も少なくなりそうです。
とにかく一般住宅での工事は細心の注意を払って作業しなければなりません。
本体が壁面に取り付けできたらあとは家具と壁や天井との隙間に支輪やフィラー(埋め木)を嵌め込みます。
その隙間にピッタリと合うように部材を鉋で削っていきます。
壁面収納の一番面倒くさい作業ですがこれがうまく取り付けできるととてもスッキリします。
で、それが終わったら最後に棚板を入れて戸をはめ込みます。
下の戸は昔ながらの框戸です。
鏡板(枠の中に入る板)を羽目板にして無垢の扉ならではの味わいある仕上がりにしました。
上の戸は透明のポリカーボネート板4ミリ厚を嵌め込んでいます。
ポリカはガラスに比べて高価ですが割れることがまず無いので地震が来ても安心です。
それと紫外線を通さないので中の大事な書物を色あせから守ってくれます。
この部屋は西日がきつい。ということをお聞きしていたのでこのような対策をとらせていただきました。
完成まで苦労はしましたがスッキリときれいに納まりK様にも大満足していただけて僕もホッとしました。
その後、K様から大学での研究の話などをお聞きしましたが残念ながら僕にはチンプンカンプンでした。
でも、これからの世の中にとても役に立つような研究開発をされているということだけは理解できました。
そういった素晴らしい研究をされている先生にひょうたん蔵の家具を使っていただける事はとても光栄なことです。
主材:ウォルナット無垢材、箱本体はウォルナット突板合板
仕上:クリアラッカー塗装
サイズ:1600(w)×3000(h)×460(d)